サンクトペテルブルク国立大学法学部主催第8回国際会議参加者派遣プログラム
2008年3月21~23日までサンクトペテルブルク国立大学法学部で開催された「第8回国際学生法律会議」に日本の大学生、大学院生5名が、日露青年交流事業の一環として派遣されました。同大学の法学部は、1724年に設立されたロシアで最も古い学部の1つで、学生数は5000人、メドベージェフ大統領、プーチン首相を始め、中央政界及び法曹界における多くの卒業生を輩出しています。
今回の学生会議には、各国の数十大学から学生が参加していますが、日本からは初めての参加で、法学分野での国際的理解を深めるとともに、これを機会に様々な分野での日露大学間交流に発展していくことが期待されます。
同会議には初めて日本から学生が参加し、これを機会に様々な分野での大学間交流に発展していくことが期待されます。
日本の参加学生5名は、「英語分科会」に所属し、約30名の学生(うち半分がロシア人学生)とともに発表、議論を行いました。最終日に発表された各分科会のベストスピーカーとして、英語分科会からは、日本人学生の島村明子さんが選ばれました。
学生会議の他、「法律における責任の諸問題」と題するマスタークラス(法学部教授の講義と意見交換)が開催され、社会・文化プログラムとしては、市内視察、エルミタージュ美術館見学、郊外のエカテリーナ女帝の夏の宮殿等を訪れました。
深夜アエロフロートSU583便にてペテルブルグに到着し、大学寮に入りました。
第2日目 3月20日(木)午前中は、郊外にある帝政時代の皇帝の離宮、エカテリーナ宮殿を見学しました。夕方アムステルダムからの参加者石神さんが到着。
ペテルブルグ滞在中の土屋さんも合流して、派遣団全員で総領事館を訪問しました。
この日は総領事主催夕食会に招かれ、現地の事情などを伺いました。
会議初日。午前中に参加者登録を済ませ、午後13時から開会式。法学部内を視察し、15時に日本と比べて遅い昼食をとりました。
10時より、主催者側の案内による市内視察(バスツアー)に出かけました。
昼食後14時からマスタークラス(法学部教授の講義と意見交換会)が開かれ、16時からの分科会の後、学生自治会主催のパーティーで参加学生たちとの親睦を深めました。
主催者側のプログラムの一環として、ロシア人学生の案内でエルミタージュ美術館を視察しました。
この日の夜、派遣団は現地で活躍する日露青年交流センターから派遣された日本語教師の方々を交えた夕食会に参加し、貴重な体験談をうかがうことができました。
正午ごろ市内を出発し空港へ。お世話になった現地学生が見送ってくれました。
貴重な体験をしたペテルブルグを発って、一路日本へと向かいました。
私の参加した国際学生会議における分科会は、英語を話すことができることができる学生のみからなる分科会で、参加学生の専攻も様々でした。しかし、専攻外の議論を多く聞くことができ、また私の発表に対しても、予想だにしていなかった質問などがありとてもエキサイティングなものでした。
この学生会議に参加して得たものは、やはり、4日間という短い期間ながらも、ロシア人学生と朝から夜遅くまで共に行動し、議論を交わし、お互いを知り合うことができたという貴重な経験だと思います。私は現在アムステルダム大学に在籍し、ヨーロッパの学生と共に学んでいることから、当初彼らとの出会いがここまで貴重な経験となると思っていませんでした。第一に、ロシアが再び国際社会の中でその影響力を強めつつある中で、彼らのひとつひとつの言葉の中に込められた、自国への自信の深さというものに気づきました。台頭するロシアという国の現実を彼らの言質のひとつひとつからも感じることができたと思います。ただ日露という二国間関係の観点から見ると、彼らの国際社会に対する思考の中に、日本という国がどのように位置づけられているのかという点は、この4日間という短い期間の中では、明確に知ることはできませんでした。特に、日露関係における外交上の懸案は北方領土問題だと思いますが、この会議において誰一人としてロシア人学生がこの話題に触れることはなかったのです。日本の地図を見せて欲しいと言われ、北方領土が明確に記載されたパンフレットを取り出してみたのですが、誰も気づかず、ロシア人学生がこの話題においてどの程度興味を有しているのかという点、そして特に紛争の存在自体を知っているのかという点も疑問に思いました。もちろん個人間の付き合いにおいて、この議論は意味のないものだと思います。しかし、「民間交流がいかに将来の二国間関係に影響を与えることができるか」を知りたいという、 私のもともとの参加動機からは、このロシア人学生の二国間外交関係への無関心は少しだけ寂しいものでもありました。
第二に、私の専攻は国際法なのですが、会議のテーマであった「法的責任の諸問題」においては彼らの国際法に対する態度は我々のものとは少々異なるように感じました。国際社会における国際法の仕事は、諸国家が協力関係の中で共存できるよう国家間利益の調整すること、そして各国家の利益と個人の利益及び国際社会全体の利益を調整することという二側面あると思います。しかし、彼らとの議論で感じたのは、後者の議論において、彼らの議論の比重は明らかに国家利益の保護にあるのではないかということです。テロと人権の議論において会議の雰囲気は、一個人の人権を犠牲にしても、多数の国民の利益を守るという議論を垣間見ることがありました。この議論は一見筋の通っているようにみえますが、その議論がテロ対策という特定の領域以外にも容易に拡大されるのではないかということを考えた場合に、少々の怖さを感じたことを覚えています。ただ、このような経験も彼らの考え方を知るという意味で非常に貴重なものでありました。
第三に、国際情勢に対する多角的な視点を得ることができた点と、ロシア人学生とセルビア人学生とのつながりの強さを感じたことです。2008年3月に同会議に参加したということからも、コソボの独立問題は一国際法学生としては避けては通れない議論でした。日本もコソボの国家承認を済ませ、国際社会の大勢は、その独立を既成事実として追認する流れにあり、それに反対する国に対しては、「既成事実を早く認め未来志向的・建設的な考え方をするほうが得策ではないのか」という感覚が欧米の論壇では支配的であると思います。しかし、このような西欧的な「感覚」は同会議においては感じることはなく、会議に参加していたセルビア人学生から聞いた「私達の体は今切り刻まれているんだ」という言葉が今でも非常に印象に残っています。現在の国際社会情勢を地球の裏側から見つめたような、強いインパクトが私の心には深く残ったのです。北方領土の問題を学びながらも、セルビア人学生のその「自国領土」に対する思いを想像することができなかった自分をひどく恥じた瞬間でした。
そして、この会議におけるセルビア人学生の存在から、ロシア人学生とセルビア人学生間の特殊な距離感というものも同会議において初めて体験することができました。もちろん知識としてロシアとセルビアとのつながりは知っていたつもりでした。しかし、語学的な近さ、民族的な距離の近さからくる、両学生間の特殊な距離感というものは、やはり接してみて初めてわかるものであったように思います。以上のように、同会議への出席は私にとって非常に貴重な経験となりました。サンクトペテルブルク 大学で経験したことは、現地に行き、ロシア人学生と知り合うことができなければ、決して得ることのできない経験でした。ロシア人学生と育むことのできた友情は一生私の中から消えることはなく、ロシアという広大な台地から得ることのできた経験は、私の今後の学問生活にも大きな影響を与えてくれると思います。このプログラムがこれからも継続され、日本の学生に多くの経験を与え続けてくれることを心から願っています。
今回の国際学生会議に参加できて、本当に良かったと思いました。たった4日間でしたがとても長く感じられました。まず圧倒されたのはその町並みの美しさです。ロシアに訪れたのは初めてで、今まで旅行したどの町よりも奇麗でした。時間がなかったためイサク大聖堂などの中まで入ることが出来なくて残念でした。
会議に関しては、最初分科会ごとに私達も参加できるものだと思っていたら、英語セクションが別にあり英語で発表する人は分野に関わらずそのセクションでの参加となり、少し残念でした。私は国際法を専門としているため、他の法律の分野にほとんど詳しくありません。ですから他の参加者の発表を十分に理解することが出来ず少し悔しかったです。ただし、サンクトの学生はみんな頭が良く、他分野についての知識が豊富で、積極的に質問をしていて感心しました。国際会議とはいうものの、ロシアの学生がメインのため分科会を全て英語で行なうもしくは通訳をつけることは不可能なのですが、私は国際法の分科会にも参加できればよかったと思いました。このことは環境法に興味があると言っていたセルビアの学生も同じように思っていました。
今回の会議が上手くいったのはロシア語を話せる土屋さんがいたことと、日本人学生のサポートをずっとしてくれていたロシアの学生2人がいたからです。特に土屋さんがいなければどうなっていたのかわかりません。手探りの中、土屋さんが乗り合いタクシーの乗り方を教えてくれたり、問題があったときにロシア語で交渉してくれたり本当に色々助けていただきました。特に会議が始まるまでの2日は土屋さんがいなければせっかくロシアにいるのに移動手段が全くわからないため、寮に引きこもってしまうところでした。会議が始まってからは友達もでき、日本人学生をサポートしてくれる人がいたのでその辺は問題にはなりませんでした。
ロシアでは同じ外国人として、観光や分科会でずっと一緒だったポルトガル人やセルビア人の学生とロシア人よりも特に仲良くなりました。セルビアとロシアの関わりや、セルビアの歴史、特にNATOの空爆の話まで彼らとすることが出来て興味深かったです。子供の頃空爆時にセルビアにいた話と、法律を学んでいるけれども所詮世界はパワーポリティックで動いているので国際法なんて信じていないとの発言には重みを感じました 。
今回の会議に参加して、すごく成長するきっかけを与えていただけたと思います。ロシア人学生に刺激を受け、勉強面のみならずやはり英語面でもこれから国際社会に出て行く身としてもっと頑張って生きたいと思いました。今回出来た沢山の新しい友達とのつながりをずっと大事にしていきたいと思います。今回は土屋さんをはじめ沢山の方々に支えられてロシアでの生活を乗り切れたことを改めて感謝します。
会議に参加させていただき、本当にありがとうございました。
サンクトペテルブルグではとても刺激的な4日間を過ごすことができました。国際学生会議iSLaCo 2008は、ロシアの学生のみならず、世界各国の学生と文化的・学術的な交流ができる機会の宝庫でした。
会議で培うことができた友情は私にとって何物にも変えがたい宝物です。進路に弁護士を志望している私にとって、弁護士を志望する友人がロシアにもできたことはとてもうれしい出来事でした。これから日露関係の重要度が増せば将来一緒に仕事をする機会もあるかもしれないと思うと、切磋琢磨の対象が世界に広がったような気がして、これからの勉強にも更に力が入ります。
会議中は専門分野の違いや自分の語学力の貧弱さから全ての交流のチャンスをつかむことはできず、もどかしい思いをしたこともたくさんありました。しかしその思いをばねに自分の能力を高め、日露両国の交流、そして日本と世界各国との交流の架け橋となれるよう、これからも積極的に交流の機会を作りたいと思います。
最後になりましたが、日露青年交流センターの皆様そして関係者の皆様、このような貴重な経験をする機会を与えてくださってありがとうございました。これからも多くの日本人学生がこのような素晴らしい経験をすることができるようにお願いします 。
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