-訪日プログラム-
-Programs of Visiting Japan-

Cosmos Academy 2009 in Yokohama


2009年秋、横浜青年会議所・国家問題特別委員会の方々の発案により、日本・ロシア・中国の学生達を対象に、水をテーマにした環境問題リーダー育成セミナーが開催されました。このセミナーは、環境問題は一つの国だけで解決できるものではなく、また若い世代にとってはより深刻な問題であるという認識から、今の学生達が将来、地球的規模での視点に立ち、社会のリーダーとして他国と強調しながら問題に対処していくことを目的に行われました。日本人学生は横浜青年会議所を通じて、ロシア・中国の学生はそれぞれ日露青年交流センター・㈶日中友好会館を通じて参加学生を募りました。結果として、環境問題に関心がある、という共通点を持ちつつも、言葉も考え方も社会的背景も全く違う3カ国の学生達が40名集まり一週間寝食を共にして、新鮮な驚きと汗と笑いにあふれる日々を過ごすことになりました。

視察プログラムとしては、水問題に焦点を絞り、横浜市の水源林の一つである山梨県道志村や西谷浄水場・北部第二水再生センター、京都では琵琶湖疏水施設を見学しました。このような施設は、ロシアでは一部の関係者以外は施設を訪問・見学することはできないとのことで、学生からは様々な質問が出されました。


道志村の森林

専門家の方の話を聞きながら天然林と人工林の境界線を歩いてみる。良く見ると、木の種類も高さも違う。森林は、保水・浄水・洪水を防ぐなど、様々な機能を持っている。

植物や土壌の状態により、雨水の吸収の仕方が違うことを実験で確かめる。容器からの水の出方の違いに注目。

横浜市・西谷浄水場

道志村などの水源からの水をここで浄水する。水道水が作られるまでのプロセスを確認。

北部第二水再生センター

下水処理のプロセスとその途中で出る処理水、汚泥、熱などの有効活用について説明を聞く。

琵琶湖疏水のインクライン

明治時代、台車に乗せて船を移動させた傾斜面を歩く。

疏水に沿って歩き、最後に南禅寺境内の水路橋までたどり着く。階段を下りるとひっそりとした寺院の雰囲気。

この他、京都では水の供給を司る神様を祀る貴船神社や、毎朝4時に井戸から水を取るという裏千家の今日庵を訪れ、日本人の水に対する伝統的な考え方を学びました。

日本の学生と一緒に祈るブリヤートの学生。彼は敬虔な仏教徒でもあります。

今日庵の兜門の前で。「侘び」について説明いただき、ロシア人も日本人も感激。

そして今回、最も特徴的だったのは、40名の学生達が5つのグループに分かれて、与えられた課題に対して、毎日寝る間を惜しんで夜遅くまで意見交換をしていたことです。最終的な課題は『水と共に生きる』をテーマにグループ発表をすること。今回参加した10名のロシア人のうち8名は、極東地域からの参加者でしたが、彼らはこのようなセミナーに参加するのは初めてでした。グループでの話し合いでは、「英語でうまく説明できない」、「人が何を言っているのかよく分からない」、「みんながそれぞれ主張して意見がぜんぜんまとまらない」などなど色んなボヤキが聞かれました。それでも、もっと良いものを作りたいという熱意から議論は続き、最終日の発表の日まで、会議室の中だけでなくホテルの部屋に戻った後で、移動の新幹線の中でなど、あらゆる場所で話し合いの光景が見られました。


一方、ディスカッションの他にも、ユニークな趣向がところどころに散りばめられていて、こうした活動を通して40人の距離がだんだん縮まっていきました。

また、青年会議所ならではのプログラムともいうべき「リーダーシップ研修」を通して、参加学生全員がリーダーとしての自覚を持ち、自分の個性を社会にどのように生かしていくかを考える機会もありました。わずか1週間という短い時間ではありましたが、学生達の溢れる活力と創造力はスタッフの期待以上で、この1週間の間でも自分にできることを模索してどんどん実践していく学生が目立ちました。語学が堪能な学生は自ら進んで通訳をひきうけたり、司会をしたり、ビデオクリップを作ったり、と。学生達にとっても、寝不足の日々が続くハードな1週間でした。

最終日の発表会を無事に終え、今回のセミナーの監修をしてくださった東京大学の沖教授のお話をうかがい、水問題の現状と、それに対して個人個人がどのような行動をとるべきなのか、再度整理し、Cosmos Academy 2009 in Yokohamaは修了しました。 セミナー修了式では、お世話になったホームステイ先のご家族の方々に囲まれ、仲間達との最後の夜を涙と歌と踊りで過ごし、40人はそれぞれの場所へ、それぞれの日常生活へ戻っていきました。日本で一緒に過ごした1週間の間に培われた絆は、Facebookなどを通じて今後も続いていきます。


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