-訪日プログラム-
-Programs of Visiting Japan-

若手柔道指導者グループ

山下泰裕さんが理事長を務められる「NPO法人柔道教育ソリダリティ―」との協力により、ロシア各地で柔道の指導を行っているコーチ達を招聘しました。団長は、プーチン首相に柔道を教えられたラフリン先生で、メンバーはさすが柔道家らしく、礼儀正しく、気持の良い若者達で、2週間の日本滞在中、柔道づけの日々を送られました。以下、「NPO法人柔道教育ソリダリティ―」事務局長・光本恵子さんより寄せられました報告です。

日露青年交流事業とNPO法人柔道教育ソリダリティー共催で来日した
ロシア柔道連盟ジュニア男子コーチたちの滞在報告について


  1. 1.期間 2008年11月14日(金)~28日(金)
  2. 2.スケジュール
  3. 3.招聘者

講道館嘉納治五郎師範の銅像の前で
(左からMr.Alexandrovich,Mr.Rakhlin,
Mr.Voztrikov,Mr.Butenin,Mr.Zhuchov,Mr.A.Rakhlin,Mr.Krischuk)


  1. 4.受入先

    今回の招聘は日本での青少年柔道の普及状況の把握、また柔道指導プログラムの構築、日本人の指導者たちとの交流に重点を置き、滞在プログラムを作成しました。
    神奈川県平塚市にある東海大学柔道部を拠点に、町道場や少年柔道塾にて、視察および実際に練習に参加する形式を取りました。
    以下、報告します。

    11月15日(土), 16日(日)

    この日は、12月に開催される嘉納治五郎国際柔道大会の選考試合である講道館杯柔道大会を千葉ポートアリーナで視察。会場で講道館館長、及び全日本柔道連盟会長 嘉納行光氏、上村春樹氏など全日本柔道連盟の役員の方々に挨拶しました。

    11月17日(月)

    講道館を表敬訪問した後、資料室を見学し嘉納治五郎師範の足跡や、講道館柔道の歴史に触れました。資料館の村田直樹先生にご対応いただきました。ラフリン先生から書籍「大統領の先生」、DVD「プーチンと柔道を学ぼう」が寄贈されました。

    その後、向井幹博先生が中心に行っている少年・少女柔道教室を視察、実際に練習に参加し、青少年の柔道教育プログラムを体験。その後、先生方と青少年柔道プログラムについて参加者全員熱心に意見交換をしました。

    11月18日(火)

    午前中は今回の招聘に対する御礼を述べるために、外務省を表敬訪問し、谷崎泰明欧州局長、山村嘉宏ロシア交流室長にご対応いただきました。

    東海大学望星学塾では、東海大学の松前重義先生の建学の精神と業績、日ソ(ロシア)との深い交流など、レクチャーを聴きました。

    東海大学望星学塾のお茶室にて、東海大学総長松前達郎夫人が主催する茶道教室の生徒さん方から、お茶のおもてなしを受けました。生け花を熱心に観賞し日本の文化に触れることが出来ました。

    松前少年柔道塾の練習に参加

    練習プログラムや昇級試験などについて
    コーチたちと意見交換。

    11月19日(水)

    午前中、歌舞伎の一幕を観覧し、
    その後江戸博物館にて歌舞伎の歴史などを勉強

    午後は、霞ヶ関ビル33階にある東海倶楽部にて、
    本NPOがラフリン先生の講演会を開催

    11月20日(木)

    この日は一日東海大学柔道部にて練習の視察、および柔道部員にラフリン先生と、ワレリー先生、他コーチの模範演技を披露。その後、学生やコーチたちとの意見交換の時間を設け、特に技のことで、いろいろと意見交換。学生達もロシアスタイルの柔道から多くのものを学ぶことができました。

    11月21日(金)

    この日も東海大学で練習に参加し、昨日に続き柔道の授業の中で、模範演技のデモンストレーションがあり、学生たちが熱心に聞き入っていました。特にラフリン先生の関節技は世界一流の技であり、大変貴重な時間でした。

    11月22日(土)

    終日東京視察

    11月23日(日)

    終日富士山・箱根視察

    11月24日(月)

    朝飛道場へ視察に行きました。右の写真は朝飛先生で、大変お世話になりました。町道場の視察は、東海大学望星学塾以来であり、ここでも、多種多様の指導プログラムに触れることができました。
    特に遊びの要素を取り入れたウォームアップ、基礎体力作りは大いに参考になったとのことで、また、褒めて育てることの重要性の再確認ができたとのことでした。

    11月25日(火)

    この日は東海大学付属相模高等学校柔道部へ視察に行きました。高校の柔道部での練習体系や、プログラムなどで多くの質問が出て貴重な意見交換をすることができました。

    (写真右)お世話になった相模高等学校の林田先生。稽古後、ラフリン先生とジュニア強化の組織論を展開しました。

    11月26日(水)



    11月27日(木)

    東海大学で宿泊していた国際友好会館の前で(出発前に撮影)



    柔道を通じた日露交流について思うこと

    今回の参加者は、母国ロシアでの青少年の柔道普及に対して、大変熱意を持ってらっしゃる方ばかりである。ロシア全土に日本の柔道、柔道の心、言い換えれば和の心を伝えたいというラフリン先生の強い要望から、コーチたちはロシアの広い範囲から選ばれた選りすぐれたコーチたちである。
    2週間という長期間にいろいろな体験から、学んだものが多かったと言える。
    また、参加者の熱心で積極的な姿勢が、柔道に携わる私たち日本人に対しても刺激になるところが多かった。青少年への指導はいかに指導プログラムを多く持ち備えているかが重要であり、同時に精神面での育成も大きな点である。

    現在ロシアで青少年への柔道指導者の資質の低下が問題化されており、柔道の技の指導は言うまでもなく、柔道の練習を通していかにその心が伝えられるか、それを備えた指導者の育成が急務である、と彼らから報告があった。
    今回、大学柔道部、町道場、高校の柔道部など、多様なロケーションと違った環境の設定を考慮し、プログラムを組んでみた。その結果、多くの参加者が貴重な体験を通し、多種多様の教授法を学ぶことができ、帰国してから個々の環境で、それを生かせることができる、との前向きな意見が多かった。

    2週間の日本滞在を通し、物質面だけのホスピタリティーだけではなく、ラフリン先生が望み、そして、我々も期待した、柔道を通して「和の心」を伝えることができたのではないかと思う。本NPO法人の理念である、柔道・友情・平和のとおり、参加者一人ひとりがこの理念を理解し、将来へつながる関係が築けたと確信している。

    ラフリン先生は、今回の実り多い交流について、自分の教え子で、柔道を愛するプーチン首相に必ず伝える、こういう交流が今後も続くことが日露の友好を深めていくだろう、多くの関係者に感謝しますとの言葉を残し、帰国した。
    本NPOも今回、快くこの事業に賛同しご協力いただいた各関係者の方々に、心から御礼を申し上げたい。

    NPO法人柔道教育ソリダリティー
    理事長 山 下 泰 裕
    (文責・光本恵子)
オススメ記事

All right reserved, Copyright(C)
 Japan Russia youth Exchange Center 2000-.