森林文化交流代表団
日ロ協会利根沼田支部の提案により、主に群馬県利根沼田地区において環境保全を主眼においた森林分野・農業・食育体験を通じての交流プログラムを行いました。ロシア側からは沿海地方の友好団体「日本友好協会」より人選された11名(学生、林業関係者、ウデゲ族(少数民族)関係者、ジャーナリストなどから構成)が来日しました。
利根沼田地区滞在中は、地元の方々が代表団に同行し、地方ならではの温かい対応ぶりにロシア人参加者は感激していました。
キャベツの収穫、こんにゃくいもの収穫、りんごの収穫、こんにゃく調理、そば調理など、その土地の生活ぶりを肌で体験できてとても満足。こんにゃくいもの収穫には経験と知識が必要です。1年目のこんにゃくいもと2年目のこんにゃくいもの違いなど、詳しい説明をしていただいたものの、いざ選別して収穫となると、混乱します。手当たり次第籠に入れてしまい、ロシア人の作業開始後2、3分で「これでは後始末が大変だ…」との日本人側の判断で作業中止となり「なぜもっとやらせてくれないのか!」と冗談で不満を言う場面も。
みんな毎日童心に戻って楽しんでいました。
木材加工工場の見学、森林の視察、植林、環境保護活動を行う高校視察を行いました。高校視察は特に好評でしたので少し詳しくご説明します。11月26日に群馬県立尾瀬高校を訪問し、自然環境科の生徒達による環境保全についての発表・意見交換会が和やかな雰囲気で行われました。ロシア人参加者だけでなく日本の高校生からもロシアに関する質問が多く発せられ、さらにウデゲ族の代表者からも自らの文化が紹介されるなど、お互いの興味を深める良い機会となりました。高校生との意見交換の場では、ロシア側参加者から学校の制度そのものに関する質問や、「どのくらい本を読むか」「宿題はどのくらいあるか」という一般的な質問から、「日本では絶滅危惧種の動物の捕獲には許可がいるか」などという専門的な質問まで出されていました。日本人高校生も「ロシアの環境はどのようなものか」「動物や昆虫はどのようなものがいるか」など興味津々。とても明るい生徒さん達でした。
ウデゲ族は、現在沿海地方、ハバロフスク地方などロシア極東地域に約2000人ほど住んでいるそうです。以下、3名のウデゲ族の方々のお話です。
アンドレイツェヴァ・インガさんハバロフスク市から南へ車で6時間移動したクラースヌィ・ヤール村(村民600人)に住んでいます。この地域はタイガの森に囲まれていますが、木材調達のため森林伐採・開発の危機にさらされており、先住民による保護活動も行われているそうです。ユネスコの世界遺産に登録することで森林を守ろうという動きもあるそうです。
沼田市滞在中に訪問した木材工場でも、ロシアからの輸入材を目にしました。今回のプログラムを通じて、日本海をはさんで隣り合う日本とロシアは、森林・水・土壌・生物多様性などの面でも相互に関係していることを感じることができました。今回のプログラムをより発展させて若い人たちの専門性を活かした交流が続くことが望まれます。
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