-訪日プログラム-
-Programs of Visiting Japan-

日露ロボット技術分野青年専門家グループ

本プログラムは、ロシアの「近代化政策」の一環としてロシア青年問題局側からの提案によって開始、2009年度派遣(モスクワ)、2010年度招聘、2011年度派遣(クラスノヤルスク)、2012年度招聘と続いてきました。今回は2011年度派遣に参加した金沢工業大学・千葉工業大学両校の協力を得て、ロシア各地より大学教員・学生25名を招聘しました。

10月3日(水)

ロシア各地より東京に到着。外務省を表敬しました。

10月4日(木)

千葉工業大学のプログラムは2011年にクラスノヤルスクを訪問したRoboCupチームの所属する林原教授の研究室に受入れのお世話になりました。千葉工大富山教授のボット開発の取組みに関する講義、ロシア側代表がロシアにおけるロボコン事情を紹介の後、昨年のクラスノヤルスク派遣参加学生から大学紹介がありましたが、プレゼン資料のロシア語は昨年知合った日本語を勉強しているロシア人学生の協力によるものだそうです。その後、工学部未来ロボティクス学科の研究室(米田完、南方英明、王志東、青木岳史各教授等)を巡り、直接質疑を交わしながら、それぞれの研究ロボットを見学しました。最先端のCNCを含む様々な工作機械が並ぶ工作センターには羨望の眼差しが向けられました。

昼食後は千葉工業大学学生と共に幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2012≪最先端IT・エレクトロニクス総合展≫を見学しました。日本人学生と混合のグループ毎に展示ブースを回りました。



10月5日(金)
朝から大阪へ移動し、大阪大学大学院知能ロボット学研究室(石黒浩研究室)を訪問。吉川講師による研究プロジェクトに関する講演では、ロボット工学が意識・心・感情といった概念を通して哲学的問題に発展するという話題で活発な質疑応答がありました。その後、研究室でアンドロイド、全方位カメラ等知覚情報基盤デバイス、人工筋肉となるアクチュエータ等を担当スタッフから直接説明を受けながら見学。工学系のみならず医学系、人間科学系の分野が融合した研究であったことに注目していました。

10月6日(土)

やはり2011年にクラスノヤルスクを訪問した金沢工業大学出村研究室がロボコンを中心とした2日間のプログラムを準備して下さいました。ライブラリーセンターや夢考房などの大学施設を見学した後、ロシア側を代表してズエフ極東連邦大学準教授がロシアのロボット事情についてプレゼンを行い、金沢工大出村教授からは夢考房プロジェクト及びロボカップについての講演がありました。

ライブラリーセンターでは世界を変えた初版本を体系的に蒐集した科学技術
稀覯書コレクション「工学の曙文庫」を見学。竺覚暁館長自らロシアの非ユークリッド幾何学のニコライ・ロバチェフスキーの論文の初版を紹介するなど、興味深い話をうかがいました。

夢考房は千葉工業大学の工作センターと同様、工作機械を含めた先端技術機器を学生が自由に利用できる環境で、ロシア側参加者はとてもうらやましがっていました。

午後からいよいよロボコンです。今回は20cm程度の自律移動ロボット・ロボカップジュニア、各チーム2台で構成し、人間のサッカーと同様に相手ゴールにボールを入れて得点を競います。ボールからは赤外線が放射され、それをロボットが検出してボールの位置を推定します。試合までの準備時間が5時間しかないため、事前に組み立てられたロボットキットを利用し、参加者はプログラミングに専念しました。ロシア人1名と日本人1名のペアにロボット1台を配布、コミュニケーションを取らなければならない枠組みでした。多少意思疎通の悪さはあったものの、フローチャートやプログラミング言語などでコミュニケーションを取り、全てのペアが試合用のプログラムを完成させました。出村教授によれば、「ロシア人学生の多くはC++言語に習熟し、数学・物理などにも強く、理数系教育レベルの高さが伺えた。」とのことでした。

夜は金沢工業大学石川学長にもご出席いただき、歓迎会が開かれました。


10月7日(日)

前日完成させたロボットで「KITロボカップジュニア日露親善大会」が開催されました。ロシア人たちは試合展開に一喜一憂して毎試合ごとに大騒ぎ、会場は非常に盛り上がりました。優勝はIEMONチーム(リャザン国立無線技術大学ザハロヴァさん、サラトフ国立工科大学コロブコさん、金沢工大3名、中学3年1名)、表彰式では、賞状の他、記念品も授与されました。


午後からは日本人とロシア人の参加者全員で市内視察です。長町武家屋敷、兼六園、成巽閣、金沢城を散策しました。兼六園ではちょうど秋の大茶会が催されており、ロシア人参加者は時雨亭で宗徧流茶道の体験を、日本人参加者は裏千家大島集宗翠社中による立礼の点前を体験しました。格式の高い茶会で茶の湯を体験できて、よい記念になりました。治部煮等の加賀料理の夕食の後、東茶屋街にも立ち寄りました。公式プログラムが終了した後も、日本人とロシア人参加者は香林坊で非公式の居酒屋体験となったようです。



10月8日(月・祝)

東京に戻り、ホンダウエルカムプラザ青山を訪問してASIMOの
デモンストレーションを見ました。

10月9日(火)
午前中、日産追浜工場で電気自動車とコンパクトカーの混流生産を行う車両組立・検査ライン、専用ふ頭等を見学しました。午後は秋葉原観光推進協会と千葉工業大学学生諸氏の協力を得て秋葉原電子パーツ街を案内してもらいました。千葉工大生の手作りマップを手に、日露混合グループで電子パーツ街などを散策しました。

これで公式プログラムはすべて終了。協力いただいた皆様、ありがとうございました。


参加者の声

ボロジン(アストラハン国立工科大学4年)
人生で最高のプログラムでした。日本は驚くべき国、長く心に残るでしょう。ありがとう!日本の友達たち、ロシアで待っています!

ラプィギン(コヴロフ市、エンジニア)
素晴らしい思い出になりました! 日本は理解するのは難しいけれど、好きにならずにはいられない国です。いつか、また戻って来たいです。

ノトキン(極東連邦大学準教授)
日本の独特の文化と日本人の親切はずっと覚えています。今回得た経験と知識は今後私の教師としての仕事の場で必ず役立つことになるでしょう。

パノフ(サラトフ国立工科大学4年)
素晴らしかったです! 1週間という期間に日本の文化と社会のハイライトに触れることができました。
自分でも短い時間に何でも見ておこうと思い、睡眠時間は1日4時間でした。

オフチンニコフ(サンクトペテルブルク国立大学4年)
素晴らしいプログラムでした。日本人学生と親しく交流できて日本文化も深く知ることができましたし、それによってロボット技術開発のアプローチが分かりました。

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