-Воспоминания о пребывании-
-Researchers Diary-
( 2005 г.)

Елена Антонова(エレーナ・アントノワ)

分野に関わらず如何なる研究も一人の人間の努力だけでは遂行することが出来ません。研究活動の成果とは、研究者の活動に対して大勢の人々が直接的また間接的に様々な価値ある支援を行う形で参加することから得られるものです。
従いまして、若手研究者に対して学術的潜在能力を伸ばす機会を提供されているだけではなく、様々なレベルでの二国間関係を緊密にするのに極めて重要な機能を果たしておられる日露青年交流センター様に対して、まず私は何よりも感謝の意を表したく思います。
私はまた、京都大学経済研究所の教授溝端佐登史先生に対しましては、経済動向を研究する分野で世界的に有名な同研究所において私が研究活動を行う機会を頂きましたことに大変感謝しております。
私の研究テーマは環境経済に関するものであり、地球温暖化問題の研究を主眼としています。京都会議のホスト国となられた日本は、環境政策の実施において、疑う余地の無いリーダーシップを発揮することとなりました。

今回日本に滞在させて頂くことは、温室効果ガス削減の分野で日本が積まれた先駆者的経験を更に深く研究する素晴らしい機会となり、日本の経験をロシアが自国の条件下で活用する観点から私の研究は有意義であると思います。更に、京都議定書の枠内における日露両国に潜在するこのような相互補完関係が今後現実のものとなり、両国間における新しいビジネス活動の活性化に向けたステップとなることを望んでやみません。

日本滞在印象記

私の今回の来日は初めてではありません。私の中には時間を経て、証明されたモザイク状の印象があり、日本への留学を考えておられる方のために、この機会にお話したく思います。また、既に日本におられた方も私のこの短い紀行文を興味深く読んで頂ければ、日本の大学で過ごされた日々を自然と思い出して頂けるかと思います。

大学

先ず最初にお話したいことは、私が日本の大学でじっくり見せて頂いた教育スタイルと研究活動の実施方法です。
私の考えでは、日本の大学の素晴らしさは、大学が学生や研究者に対して理論的な研究を進めるだけではなく、理論を社会の実際の活動と摺り合わせる機会を与えてくれることです。特に、私の指導教官である溝端教授は日本の大企業を見学する機会を既に何回も企画して下さいました。このような現地見学を通じて、日本の企業がどのように機能しているかということを自分の目で見ることができ、製造工程を学び、企業の沿革を知り、また専門家を前に直接自分が興味を持つことについて質問をすることができます。私が日本で研究活動をしている間に、既にダイキン工業、マツダ東洋工業、トヨタ自動車、サントリーの工場を訪問させて頂いております。

私の研究テーマの一部として温室効果ガス削減方法を取り上げていますので、このような企業訪問により環境分野での日本の最先端技術を自分の目で見ることができ、私にとって特に興味深いものとなりました。このことに関しまして、トヨタ会館の訪問では環境にやさしい燃料電池車並びにハイブリッド車であるプリウスの展示を見て大きな印象を受けました。トヨタ自動車が最近ロシア市場にも参入した事実を知りまして私が望みますのは、単にロシアでの生産を成功裡に収めるのではなくて、同社が誇りとされており且つ企業活動において不可欠と考えておられる高い環境意識概念をロシアにも根付かせて頂きたいということです。

日本の企業が大学との共同研究を常に大きな期待と喜びをもって実施していることは、注目に値すると思います。外国人研究者にとりましてしばしば大変なのは、日本の企業を直接訪問して、代表の方とお会いする約束を取り付けることですが、このような場合、情報を取ることさえ困難です(電話番号や面会して頂くべき方のお名前を調べにくい等の問題があります)。しかし、通常、そのような問題は、教授の手助けによって簡単に解決されます。ロシアの大学では教授が学生に対してこのような手助けをすることは大変稀なことです。

日本の大学の活動においてもう1つ大切なことは、学術研究者の交換制度です。招聘教授による講義は、外国並びに日本の他大学からの専門家と知り合える良い機会であります。京都大学経済研究所並びに学部ではこのような招聘教授による講義が頻繁に催され、ロシアから学者が招聘されることも珍しくありません。このような場合、討論は講義の後も続きますが、場所を変えた堅苦しくない日本の居酒屋で行われます。このような人間関係は、招待した側の鷹揚さを示す日本文化の側面となっています。

日本の大学院に入学して、私は恐らく全ての外国人が感じる新しい生活を始めるにあたっての不安がありました。しかしながら、そのような危惧は直ぐに消え去りました。その多くはチューターの御蔭だと思います。チューターというのは、日本人の学生が外国人に対して何かと支援や助言を行ってくださるシステムです。チューターは単に学生生活に溶け込める手助けをしてくれるだけではなく、一般生活に関する質問・疑問に対しても指針を与えて(相談にのって)くれます。このような制度は、外国人学生並びに研究者の気持ちが楽になるので大変効果的だと思います。このほかに、チューターは日本の生活について様々なことを学ぶことが出来る相手として本当の友人にもなってくれます。例えば私はチューターと新年の歌舞伎を観劇し、日本の家屋を訪問して日本の家族の方々と話をしました。このような人間関係から当に日本という国とそこに住む人々の印象が出来上がるので、大事なことだと思います。

日本での生活

日本に来るということは、生活条件が大きく変わるということだとつくづく感じます。ロシアからの研究者が日常で遭遇する唯一の不便さとは、セントラルヒーティングが存在しないということかと思います。しかしながら、そのような問題は電器店で電気スリッパと電気毛布を購入すれば簡単に解決され、家の中でも気持ちよく過ごすことが出来ます。

将来日本に来られるロシアの学者にとって、現実の問題となるのは住む場所を何処にするかということです。日本へ初めて来る人にとっては、通常のマンションや家に比べて様々な便利さを利用できる大学の寮に住むことをお勧めします。例えば、日本では普通、ゴミは定められた日に出さなければなりませんが、大学の寮にはそのような制約がないので外国人には生活しやすいのです。

また、大学の寮には専用のフィットネス室、テニスコート、音楽談話室や時には小さい図書館もあります。このような便利な設備により、生活はより快適なものとなります。もう1つ、特に優れた点を大学の寮について述べるとすれば、寮の事務室が行う頻繁な活動があるということです。通常、大学の寮では多くの外国人が住んでいますので、事務室は文化に関する行事を催し、日本の伝統的な様式や芸術を学ぶことが出来ます。特に私が住んでいる大学の寮では、日本語、生け花、料理、陶芸等の文化的な教室が開かれています。住人は自分の希望に合わせてプログラムを選び、建物から外へ出ること無しに参加することが出来るのです。

このように私は自分の印象をここに少しまとめて書いてみました。日露青年交流センター様の精力的な御活動により、今後も年を追うごとに日本に興味を持つ人が益々増えることを望んでやみません。現在日本にいる私たちロシア人奨学金受給者は、ロシアやその文化、伝統、経済活動、更に言うまでもなくロシア人に対する興味が日本の若者の間で今後も増えるよう、私たちなりに努力したく思います。

(原文はロシア語)
日露青年交流センター Japan Russia Youth Exchange Center
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