-訪日プログラム-
-Programs of Visiting Japan-

ロシア対日友好団体若手代表者会議グループ



ロシアでは従来から日本文化への根強い関心があり、茶道、生け花、書道、折り紙といった伝統的な分野をはじめ、最近では漫画、アニメのような日本のポップカルチャーへの関心の高まりも見られます。ロシアの各地域には、日本との交流や日本文化の紹介などの事業を行っている民間の団体が数多くあり、これまで年1回、ロシア国内でこれらの団体の代表者を一堂に集めて「対日友好団体代表者会議」を開き、交流のあり方などを議論し、お互いの経験を交換する場が設けられてきました。
隣国とはいってもロシアは広大で、我が国とは距離を隔てた地域も多く、日本との文化・交流事業に携わりながらも、日本を自分の目で見る機会に恵まれない関係者も多くいます。そこで今回は、この会議を東京で開催し、その機会に日本の文化やライフ・スタイルに直接触れてもらうとともに、日本国内でロシアとの文化・交流事業を行っている日本の民間団体の関係者との交流を図る機会を設けることとしました。

1月末、モスクワ、サンクトペテルブルク、ハバロフスク、ウラジオストク、ユジノサハリンスクの日本大使館・総領事館がそれぞれ選出した16地域18都市からの参加者38名が日本を訪れました。
一週間の滞在中に東京と京都を訪問し、外務省で開催された全体会議では活発な意見交換がなされ、京都では日本の伝統文化に触れる機会に恵まれました。 茶道、生け花などの文化体験では、古くからの伝統を受け継ぐ流派の方々から直々に教えを受けたことで、その繊細さ、奥の深さを改めて実感することができました。

招聘日程

ロシア各地から1月25日より順次来日
      1月26日 東京にて文化体験(歌舞伎鑑賞、浅草視察)
      1月27日 対日友好団体若手代表者会議(於:外務省)
      1月28日 対日友好団体若手代表者会議(於:外務省)
      1月29日 京都文化体験(生け花体験、寺社視察)
      1月30日 京都文化体験(茶道体験、寺社視察)
      1月31日 都内視察。第一陣(サハリングループ)帰国の途へ
      2月1日 順次帰国
      2月2日 最終グループ(ハバロフスクグループ)帰国

詳細日程

第1日目 1月25日

代表団中最大の人数を数えるモスクワ・サンクトペテルブルクグループ22名が成田空港到着。夕刻新潟経由でウラジオストクからの8名が東京駅へ。昨日到着予定が悪天候のため、本日到着となったサハリンからの3名が札幌経由で到着。改めてその国土の大きさが感じられました。

第2日目 1月26日

一行は日本の伝統芸能歌舞伎鑑賞のために国立劇場へ。この日は白血病を克服し半年ぶりに舞台に復帰した12代目市川団十郎の「象引」を鑑賞。その迫力ある舞台に圧倒されました。夕刻にはハバロフスクグループが無事到着。これで全員が揃いました。

第3日目 1月27日 
会議概要(PDFファイル)

今日から外務省中央庁舎7階国際大会議場において、ロシア対日友好団体若手代表者38名、日本側交流団体代表者約20名が参加する友好団体代表者会議が始まりました。

在ロシア日本大使館の今村公使を議長として、まず日本側から日露青年交流事業についての説明、国際交流基金の活動説明があり、そのあとロシア側対日友好団体がそれぞれに活動報告を行い、質疑応答などであっという間に時間は過ぎ、時間切れを通告されるという一幕もありました。自分たちの活動をアピールしたいという熱意があふれたプレゼンテーション第1日目となりました。

札幌・ノヴォシビルスク姉妹都市代表者による
プレゼンテーション

日本のアニメや漫画、さらにはコスプレなどもロシアの若者文化に浸透しているとの発表や、漫画で日本語を勉強し始めた、自ら漫画雑誌を発行しているという参加者もあり、インターネットなどの通信網の発達が大きく影響していることがわかりました。
午後には日本側のロシア交流団体が活動報告を行い、この日の会議は終了しました。

第4日目 1月28日

会議日程2日目。

文化的側面に重点を置いた昨日の議題とは少し離れて、今日は行政府、ビジネス、マスコミ、教育機関などの協力についての活動報告に移行しました。
はじめにロシアの市場経済改革支援の一環として、ロシア連邦内7か所に設置している日本センター事業を行う、外務省欧州局ロシア支援室から活動報告がありました。センターは日露経済関係の分野で活躍を期待される人材を発掘・育成することを目的として、経営関連講座・日本語講座等様々な技術支援を行っています。本会議出席者の中にも日本センターでの研修を修了し日本とのビジネスで活躍している人たちがいました。

ロシア側の発表では、サンクトペテルブルクなど古くから日本との交流が盛んに行われている大都市での中等教育機関における日本語教育だけでなく、折り紙を子供たちの情操教育に活用しているカメンスク・ウラリスキー、囲碁や武道を通じて日本の精神性に学ぼうとしている極東各都市など、ロシア各地で日本文化がロシアの青少年に与えている影響がうかがわれました。

ビジネス分野でも、日本から遠く離れた北極圏の都市ムルマンスクなど、不利な立地条件のために思うように関係を構築できない地域の代表者の声を聞くことができました。日本との交流は、多方面から望まれてはいても潜在的な問題の解決には障害が多いことを改めて認識させられました。

会議は午前で終わり、午後はコンテンツメディアプロデューサー櫻井孝昌氏の「日本のポップカルチャー」に関する講演がありました。世界各地で講演を開き、アニメによる外交を実践する講師の興味深い講演内容に参加者の興味は尽きませんでした。

アニメの一コマを再現

大好きなアニメについて質問がいっぱい

講演終了後はすぐに東京駅に向かい、新幹線で京都に出発しました。同様の活動はしていても普段は交流する機会がない同志たちと白熱した議論を交わし、日本側の意見を直に聞くことができた有意義な2日間の日程は終了しました。

新幹線から見えた富士山に感動。
日本をこよなく愛する来訪者を歓迎してくれているかのように、堂々とした姿を見せてくれました。


第5日目 1月29日

京都での文化体験初日は、池坊会館で生け花体験でした。はじめに聖徳太子が創建され、生け花発祥の地となった「六角堂」を訪れ、歴史と伝統について短い説明を受けました。
その後実際にお花を生けてみることに。全員に花材が配られ、試行錯誤しながらもそれぞれのセンスで作成しました。

団長さんも頑張りました!

講師の京極先生が参加者全員の作品を巡視して、手直しを施してくださいました。気になるところも先生が少し手を入れただけで、見事な作品に早変わり。自分の作品に愛着がわき、記念に持ち帰ることになりました。


みんなの心にも春が訪れました。


池坊会館をあとにして三十三間堂を拝観に行きました。一千一体の観音像が立ち並ぶ姿に感動し、仏像に造詣の深いクルチナ団長のお言葉に耳を傾けていたら、時間が短すぎて名残が惜しまれました。

午後からは清水寺を拝観。

この後の自由時間には希望者だけで祇園を散策しました。

日本語ロシア語電子辞書に興味深々…

舞妓さんに会えるかな…

第6日目 1月30日

日本文化体験2日目。裏千家茶道資料館を訪問。千利休の孫宗旦が隠居の折に建てた今日庵を見学。通常は非公開のため拝観が許されていない300年以上前に建造され数々の歴史を持つ貴重な茶室に入り、厳粛な気持ちになると同時に、靴を脱いで木造家屋の畳の上を歩いたことで京都の冬の寒さを実感しました。普通ではなかなか体験できません。

このあと茶道資料館で茶道体験に臨みました。ロシアで茶道をたしなむ参加者は手本を見せることになりました。

ここは腕の見せ所

茶道発祥の地を訪れ、抹茶の作り方、お茶の点て方、お客様のもてなし方など、茶道の心を知ることで日本人の感性の片鱗に触れたような気持ちになりました。

きれいな泡を立てるのもなかなかたいへん

先生から茶器の見方や形について詳しい説明を受けました。

昼食の後は金閣寺を訪れました。これまでお天気に恵まれていましたが、予報通り降り出した雨も金閣寺をしっとりと濡らし、かえって京都らしい落ち着いた風情を見せてくれました。

車中ではお弁当のゴミもちゃんと回収しました。

今日はこれから東京へ移動です。だんだんと帰国の日が近づいてきました。サハリングループは、いよいよ明日帰路につきます。

第7日目 1月31日

サハリングループは早朝に羽田から札幌へ発ち、夕方の便でユジノサハリンスクへと帰って行きました。
モスクワ、サンクトペテルブルク、ウラジオストク、ハバロフスクからの参加者は朝から都内視察です。江戸東京博物館を訪れ、近世の日本人の暮らしを学びました。

第8日目 2月1日

ほとんどの参加者が今朝日本を発って行きました。
1日遅く到着したハバロフスクグループは今日が東京視察の本番です。
浅草を訪れ古い下町情緒を堪能したあと、コスプレイヤーたちが集まる原宿を見学に行きました。竹下通りや渋谷の交差点の人の多さは噂では知っていましたが、まさか自分たちが歩くことになるとは思いもよりませんでした。夜は歌舞伎座で歌舞伎鑑賞をして日本文化を満喫しました。
翌日新潟経由で全員が家路につきました。

今回の訪問団は、ロシア各地で日本との親善を深めようと活動を続けている団体の代表者たちで構成されていただけに、文学、書道、俳句、茶道、生け花、折り紙、着付け、琴、囲碁など日本文化に造詣の深い人々が数多くみられた反面、漫画をロシア語に翻訳している人、アニメ雑誌を編集出版している若者など、日本のポップカルチャーが世界を席巻している実情を目の当たりにしたように思います。
参加者たちが今回の訪日で得た新たなつながりを大切にして、今後の日露友好発展に寄与してくれるものと確信しています。

参加者の声

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