北九州市・チェリャビンスク市青年交流
今回の招聘プログラムは、ロシア・チェリャビンスク州との交流を重ねてきた北九州市からの提案に基づき、日露青年交流事業として共催することになったものです。
北九州市産業経済局貿易振興課作成の報告に基づくレポートです。
ロシアの鉄鋼の街チェリャビンスク州と北九州市は、2005年から鉄鋼産業を中心に経済交流が進められ、また、2007年には公害克服の歴史を持つ北九州市が、現在、環境問題を抱えているチェリャビンスク州の廃棄物処理に関するグランドデザイン策定を支援した。
今回、このような経済交流、環境協力を背景として、事業に携わったチェリャビンスク州の青年を北九州市に招き、日露両国関係の将来を担う青年層の交流と相互理解の増進を図り、地域間交流をさらに活性化させることを目的とする。
ロシア・チェリャビンスクより同市の鉱工業・環境分野関係者8名、若手経営者6名の計14名が参加。
チェリャビンスクからモスクワまで約3時間、モスクワから成田まで約10時間のフライトを経て来日。東京では到着後すぐに宿泊先ホテルの経営概要のアポに臨んだが、長旅の疲れも見せず、意欲的に質疑応答や視察を行った。
●7月27日(月)外務省訪問では、日露青年交流事業をはじめとする日露関係や日露地域間交流に関するブリーフィングが行われた。
羽田空港から北九州市へ移動。
夜は2007年からチェリャビンスク州を訪問した企業、自治体の関係者、また、同時期に市内日本語学校に短期研修に来ている同州の学生など総勢60名の歓迎レセプションを行なった。冒頭で、北九州市側の代表者からこれまでの両地域の経済交流、環境協力の経緯が話され、訪日団の代表のオフチンニコフ氏から歓迎に対する謝辞と両地域の交流を発展させたいとの話があった。アトラクションとして両地域の代表がそれぞれ歌を披露した。
北橋市長から両地域の経済交流の成果を、今後、いろいろな交流につなげていければ良いとの挨拶があった。代表団からは、北九州市に対する謝辞と今後の同市のあらゆる産業への協力、また、学生の交流、文化交流など進めていきたいとの話があった。プレゼンテーションでは、北九州市のアジアでの拠点性や重工業で発展したこと、公害克服の歴史があること、現在、ロボット産業や自動車産業で経済の活性化を進めていることなどを紹介した。
産業ロボットが車体を溶接するところや、車体にシートを入れるところを興味深く見た。見学終了後は、工場についてのレクチャーを受けた。
北九州市環境局の新門司工場(廃棄物処理施設)を見学した。この工場は、ガス化溶融炉を使って廃棄物を焼却して鉄とスラグに分けるシステムで、世界最先端のごみ焼却施設。焼却されたごみが炉から真っ赤な液状になって出てくるところを興味深く見学した。
北九州市の若手職員とそれぞれの街についての意見交換を行った。
●7月30日(木)無添加石けんの製造現場を視察した。合成化学薬品や香料を使った洗剤が人体に害を与える話などを興味深く聞いた。特に、製造過程で石けんを舐めて味で出来具合を確認していることには驚かされた。
ロボットを用いた製造ラインの視察を行った。人間の関節のような動きをするロボットがさらに新しいロボットを製造する様子に驚いた。
古式ゆかしい正統派日本家屋に、大変興味を持ったようで、木造建築についてひとしきり論議があった。また、この建物の歴史と北九州市の経済界の歴史についても学んだ。
北九州エコタウンを訪問して北九州の環境産業への取り組みについて勉強した。はじめにエコタウンセンターで、エコタウン事業の概要の説明を受け、その後、エコ商品の展示施設を見学し、蛍光管のリサイクル工場とペットボトルのリサイクル工場の視察をした。
北九州市内のホテルでは大変珍しくなった女将より、サービスの話しを聞きながら、男尊女卑というイメージの強い日本社会で、昔からある女性の管理職としての「女将」には驚きを示した。日本女性ならではの細かい心配りを学んだ。結婚式場では、ショービジネスになっている日本の結婚事情に一同驚きを隠せない様子であったものの、興味津々でかなり活発に質問が出ていた。
新日本製鉄八幡製鉄所を見学して、日本の高品質な製鉄技術についての説明を受けた。鉄鉱石の輸入、鉄鋼製品の輸出が行なわれている泊地、熱延工場を見学した。
●8月1日(日)山口県下関市へ高速連絡船で渡り(所要時間約5分)唐戸市場を視察した。新鮮な海産物の卸売市場で、新鮮な魚をさばいた寿司の試食ができるのに驚いた。また、レストラン経営者のグループは、うに、鯨、ふぐ等の食材に高い関心を示した。
北九州市門司区の学童たちと習字教室を体験した。初めての習字体験で最初は緊張していたが、終わる頃には、「成功」、「家族」、「幸福」など思い思いの漢字を書いた。子供たちとも、お互いの国のことを発表し合い、ロシアは、冬が長くマイナス30度くらいになると発表したときは、子供から歓声があがっていた。
北九州で最大の夏祭りを見学した。ちょうちんの光、太鼓の音、人々の熱気と活力に感動させられた。
早朝、福岡空港から成田空港を経由してロシアへ帰国。
環境、ごみ処理、自動車産業、製鉄所、フードビジネスの実態などに触れることができ、また専門の他に多くの日本文化に触れられるプログラムが含まれており(子供との交流、茶道、日本庭園、温泉など)、満足を得ることができました。 日本とロシアの地域間関係の強化・発展を図る大変ユニークで価値あるプログラムで、このようなプログラムはロシアと日本の国際関係の強化に役立つでしょう。
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