写真1:観光地であるセバスチャノフの家
「エカテリンブルク」という都市をご存知でしょうか。日本で生活しているとなかなか聞かない地名だと思います。実際、私も働くことになって初めて知りました。(最近は馬の名前として知られているようですが…。)
エカテリンブルクはロシアの中央にあり、第4の都市とも言われています。工業や文化、交通において、ウラル地方の中心となっている都市です。ロシア初代大統領B.N.エリツィンの出身地でもあります。
日本から来るのは大変かもしれませんが、日本や日本語に興味関心のある人は非常に多い都市だと思います。今回は、そのエカテリンブルクの日本語教育事情について3点、お話ししたいと思います。
1. エカテリンブルクで日本語を学ぶ
私の働くウラル連邦大学では、東洋学科の中で、選択外国語として、日本語を勉強することができます。日本語を学ぶためにウラル連邦大学を選んで入学する学生も少なくありません。クラスには日本の伝統文化やポップカルチャーに興味を持っている学生もいれば、「なんとなく興味があって選んだ」という学生まで様々です。
また、第二選択外国語として学ぶことができるため、大学では100人近い学生が日本語を学んでいます。勉強熱心で教育熱心なロシア人の先生方と一緒に、日本語を教えています。
大学以外にも、市内には日本語学校がいくつかあり、小学生から60代まで、幅広い年代の方が日本語を勉強しているそうです。日本人は少ない都市ですが、多くの人が日本や日本語に興味を持っていることが窺えます。
写真2:左から4番目に高いビルには日本語学校が入っています
2. エカテリンブルクで日本語を使う
エカテリンブルクは大きな都市ですが、日本人は数人しかいません。そのため、日本語母語話者と話すのはとても貴重な機会になっています。
ウラル連邦大学には、毎年大阪大学と神戸市外国語大学から留学生が来ています。日本語を学ぶキャンパスとロシア語を学ぶキャンパスは離れているため、同じ大学生と言えども、話すきっかけを作るのはなかなか難しい状況です。そんな中、日本語の授業に来てもらったり、学生が自主的に会話クラブを開いたりなどして交流を深めています。
授業で留学生に街案内をした際には、「歩きながら日本語を話すのは難しい」と苦戦ながらも、一生懸命に話しかけている姿が見られました(写真3)。
写真3:留学生に街案内をする様子
また、大学が中心となって、「ウラル地方日本語弁論大会」も開催しています。大学生だけでなく、ウラル地方で日本語を勉強している幅広い参加者がいるのが特徴です。日々の勉強の成果を発揮する良い機会となっており、モチベーションにもつながっているように思います。
3. エカテリンブルクから日本へ
大学からは、毎年、大阪大学と神戸市外国語大学に留学生を派遣しています。数名しか選ばれない狭き門ではありますが、留学が目標となっている学生も多いです。
また、夏期インターンシップ(サマージョブ)への派遣も行っています。夏休みを利用して、日本のホテルやレストランでの仕事を経験します。接客はもちろん、同僚とのコミュニケーションにも苦戦しながら、実際に日本での生活を体験しています。残念ながら、今年はインターンシップの派遣は中止になってしまいましたが、来年度への実施に向けて準備を進めていく予定です。
留学やインターンシップを経験した学生は、自身の日本や日本語に対する理解を深めるだけではなく、他の学生の刺激にもなっています。一教員としては、日本との交流の重要さを実感しています。
以上、エカテリンブルクの日本語教育についてお話ししました。
エカテリンブルクの冬は川も凍るほど厳しく(写真4)、生活面でも交通面でも、日本からは遠く感じるかもしれません。
一方で、日本語を勉強している人や、日本に興味を持っている人はとても多い都市です。
エカテリンブルクにお越しの際には、ぜひ日本語のクラスをお訪ねください!
Facebookでもエカテリンブルクの日本語教育について情報を発信しています。
興味があれば、ぜひご覧ください。
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写真4:写真2と同じ場所から撮った写真
エカテリンブルクの所在地