-日露学生・青年フォーラム-
-Japan Russia Youth Forum-

第7回日露学生フォーラム 2015

筑波大学での開会式

日露青年交流センターは、筑波大学と共催で、第7回日露学生フォーラム2015を実施しました。「これからの日本とロシア~過去を踏まえ、現在(いま)を生き、未来へとつなぐ~」”Japan and Russia from now on: learning from the past, living the present and planning the future”を全体テーマに、3つの分科会A.イノベーション分野での協力”Cooperation through innovation”, B.地域再生を通じた二国間協力”Regional Renaissance”, C.世界のスポーツ文化への貢献”Contribution to the culture of the world’s sports”に分かれて議論を交わしました。
ロシア側からは、在外公館を通じて選抜された17校30名の学生が参加、日本側は、当センターの公募による11大学16名、筑波大生14名計30名が参加しました。主なプログラムとして、筑波大学での分科会、総括発表等を2日間にわたって実施、JAXAつくば宇宙センターを見学、日露修好160周年を記念した伊豆半島の戸田周辺視察、日露学生の都内散策を実施しました。またロシア人参加者のみを対象に、日本人学生との都内視察および茶道体験を実施しました。

期間:平成27年12月1日~8日(8日間)
参加者:ロシア人学生30名、日本人学生30名、ロシア人引率者1名、ロシア側オブザーバー3名

【ロシア側参加大学】

サンクトペテルブルク国立大学、サンクトペテルブルク国立文化大学、モスクワ国立大学、モスクワ市立教育大学、ピロゴフ国立研究医科大学、カザン連邦大学、リャザン大学、ノヴォシビルスク国立大学、ノヴォシビルスク国立医科大学、ハバロフスク国立経済・法律アカデミー、極東国立交通大学、国立極東総合医科大学、ウラジオストク国立経済サービス大学、極東連邦大学、国立海洋大学、サハリン国立大学、ユジノサハリンスク経済・法律・情報大学

【日本側参加大学】

青山学院大学、京都大学、神戸大学、国際基督教大学、創価大学、筑波大学、津田塾大学、東海大学、日本大学、北海道大学、立命館大学、早稲田大学

■主な日程

12月 1日  ロシア人参加者到着
12月 2日  都内視察。全体オリエンテーション
12月 3-5日 学生フォーラムおよび日本人学生との伊豆視察
12月 6日  日本人学生との都内散策
12月 7日  茶道体験
12月 8日  帰国

プログラム

12月1日 ロシア各地からロシア人参加者が到着。
12月2日 ロシア人学生は都内視察の後、筑波市へ移動。日本人学生も集合して、全体オリエンテーション。この日から日露学生交流が始まりました。
12月3日 学生フォーラム初日。開会式では、日本側から筑波大学永田学長、外務省ロシア交流室石川室長が挨拶。ロシア側を代表して、カザン連邦大学タチヤナ・ヴァヒトヴァさんが挨拶。

永田学長の挨拶

石川室長の挨拶

タチヤナ・ヴァヒトヴァ氏の挨拶

その後、筑波大学人文社会科学研究系臼山利信教授による基調講演「Establishing and preserving new ties between Japan and Russia: Utilizing creative problem solving skills for enhancing mutual cooperation」、日本人学生代表として北海道大学農学部応用生命科学科3年、阿部碧さん、ロシア人学生代表として極東国立交通大学国際協力学部4年エリーナ・シェルバエヴァさんが基調報告を行いました。

午後からは3つの分科会に分かれてセッションを行い、活発な議論が交わされました。

Aグループ

Bグループ

Cグループ

夜は大学内の会場でレセプションを実施。関係者挨拶のほか、筑波大学大学院博士前期課程芸術専攻書領域博士前期課程1年の前田耕作さんによる書道デモンストレーション鑑賞など、リラックスして交流を深めました。



12月4日 総括会議にて各分科会の学生代表が報告しました。

Aグループ

Bグループ

Cグループ

午後はJAXA筑波宇宙センター見学の後、一路伊豆へ。宿泊は、日本人とロシア人が同室になり、さらに交流を深めました。

12月5日 日露修好160周年を記念して、戸田造船郷土資料博物館
を訪問し、ディアナ号とプチャーチンに関する展示を見学し、周辺の文化施設を見学しました。天候に恵まれたおかげで富士山の美しい姿を見ることができました。
12月6日 日本人学生とロシア人学生の都内散策を実施しました。
12月7日 日本文化体験の一環として、茶道体験を実施し、翌日プログラムを終了しました。


参加者の感想

  • 「全員が、日露関係の様々な問題の解決についてたいへん真剣に向き合っていました。両国の相互協力活性化のためのたくさんの素晴らしいアイデアが提案されました。これらの案が実現し、我々の友好関係の強化のために利用されることを期待しています。私たちには日本各地からの友人ができ、日本人学生には、ロシア全土からの友人ができました。私たちは、本当に親しくなりました。この友情がこれから長く続くことを願っています。お互いをよりよく知り、理解し、助け合う機会を与えていただいたことに本当に感謝しています。最後に別れるのは寂しいですが、このフォーラムは私の人生において最も素晴らしい出来事の一つになりました。」(ハバロフスク国立経済・法律アカデミー2年 タチヤナ・スコムキナ)

  • 「フォーラムはたいへん良く組織されており、予定通りに実施されていました。参加者はたいへん的確に選抜されており、全員が成果を残すことにたいへん意欲的でした。退屈する暇はありませんでした。主催者の皆様には、充実したプログラムをありがとうございました。学生フォーラムは、国家間協力発展のための素晴らしい道具だと思います。このようなプログラムを継続して実施することは、安定した肯定的な効果のためにも重要だと思います。日本人学生がずっと一緒に居られなかったことが、とても残念です。」(カザン連邦大学対外関係局国際交流コーディネーター・団長 タチヤナ・ヴァヒトヴァ)

  •  
  • 「日露学生フォーラムに参加し、自身が得たものは一言では言い表せません。しかし大学生活の中で最も思い出深く、今後人生の糧となった経験の1つとして本フォーラムは位置づけられます。印象深かった出来事として具体的には3点挙げられます。 1点目は、分科会当日に向けた日本人学生同士の協力です。日本人とロシア人との関わりというのは非日常的で印象深いのはもちろんなのですが、ロシア人とのディスカッションに向け、大学も居住地も異なる学生が各人で分担された仕事をこなしながら、協力し当日に向け一心に準備を行っていたこともまた、印象深い出来事の1つです。
     2点目として、ディスカッション及び、その発表原稿の作成が挙げられます。ディスカッションの際には日本人学生がより具体性のある提案をしようとしていたのに対し、ロシア人学生は具体的なものは避け、より一般的に通じる事柄だけを追及しようとしていた、ということで初め議論はあまり深まっていませんでした。そもそも初めはこのずれに気が付かず、自身はなんで意見が全く聞き入れられないんだ、と少し憤りに近いものを感じていたのも事実です。しかし、ボードを使い彼らの頭に思い浮かべているのがどのようなものなのか、また自分たちとどう違うのかについて明確になった時点から議論が一層深まり、最終的にはお互いの意見の入った結論へとたどり着くことが叶いました。従ってこのような経験から、自分の価値観あるいは思考様式がもしかしたら相手と違っているのかもしれない、と疑うことや異なる思考様式であるならば、どの点は妥協できるのか、どの点は主張するべきなのかについて学ぶことができました。
     3点目はロシア人との友情です。本フォーラムを通じて多くのロシア人学生と親しくなりましたが、中でも、私は1人のロシア人学生と親友と呼べるほどに仲良くなりました。彼女と私は双方に母語ではない英語で、会話のやりとりに苦戦する面もありましたが、お互い伝えようとする心を持って接し、またそれを厭わなかったことで、本当に色々な事柄について語り合いました。初めは趣味や家族についてなどについて話していたのですが、その内容は次第に深まり、お互いの国の情勢や北方領土、国際問題についてまで夜通し語り合いました。このことを後で振り返ってみると、あの瞬間こそが、利害関係のない学生だからこそ築ける友好関係の構築の一環となっていたのではないかと感じました。今でも彼女とは連絡を取り合っており、いつかロシアまで会いにいきたいと思っています。」(重入美穂 筑波大学人文・文化学類比較文化学類2年)

  • 「私は、特に日露の外交関係に関心を抱いておりましたが、ロシア人と交流する機会はかなり限られており、実際にロシア人と話をする中で、ロシアの文化、生活、考え方等を知る必要性を強く感じておりました。本フォーラムは、特に自分と同年代の学生と交流できる貴重な機会であったため、参加を希望しました。
     本フォーラムでは、分科会A「イノベーション分野での協力」の議論に参加しましたが、日露間協力のポテンシャルが非常に大きいことを改めて感じさせられました。分科会Aだけでも、医療、IT、ロボット技術、エネルギー、農業、宇宙開発の6分野で日露の協力可能性を提示することが出来たことは、今後の日露協力関係を活かした相互発展の余地が非常に大きいことを示しているのではないかと思います。互いに居住する国、地域、学んでいる学問領域でさえも異なる者同士が、様々な視点を持ち寄って、どのような分野で両国が協力出来るのかを議論したことは有意義な経験となりました。
     分科会以外でのロシア人との交流も有意義な経験となりました。宿泊の部屋が同じだったロシア人学生と、互いの学校の話、生活・文化の話、両国の抱える政治問題の話など、様々な話題について夜遅くまで話すことができ、私にとってはロシアに対する理解を深める機会になりました。それ以外にも、伊豆観光や、都内散策の時間があり、多くのロシア人と交流する機会に恵まれました。本フォーラムでは、分科会のように、各自リサーチを重ね、決められたテーマについて議論するプログラムのほかに、よりカジュアルな形で会話を交わす機会が多く設けられているなど、ロシア人との交流がしやすい環境が整っていたと思います。
     本フォーラムは、日露双方の学生にとって、両国の文化・考え方を学ぶ良いきっかけになったと感じています。私自身が、本フォーラムに参加する以前と比較して、ロシアに対する関心が強まったことは言うまでもありません。また、本フォーラムを通して、隣国である日本とロシアの関係は、多様な分野で協力関係を構築していくことの出来る可能性に満ちているということを再認識できたことは非常に大きかったように思います。今回の経験を糧にして、より対露理解を深めていくように努力していきたいと思います。」(奈良崎翔太 早稲田大学法学部4年)
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